
今日は12月24日。
みんな大好き、クリスマスイブだ。
街はイルミネーションに彩られ、クリスマスソングが町中で流れている。
この日は子供をはじめとする、多くの人々がサンタからのプレゼントを楽しみに待っているだろう。
この物語は、みんなに夢や希望を届けたいとの想いで、サンタの世界に足を踏み入れた少年の奮闘記である。
見習いサンタと、マッチ売りの少女【クリスマスの悲劇】



今の時代に、マッチ売ってんの!?超ウケんだけど〜!
しかも、裸足ってw


そんな小汚い奴なんかほっといて、早く暖かい所に行こうよ!ぐへへへ
彼女は両親を早くに亡くし、天涯孤独の身。
生活費を稼ぐために、この街角でマッチを売っているのだ。
靴を買う余裕など当然なく、毎日裸足でここに立っている・・・。
観察


今日も一本も売れなかった。
さっきの子が言ってたように、今の時代にマッチなんて売れるわけないよね。
ツリーの陰から覗き込む一人の少年。
彼がこの物語の主人公、見習いサンタのリリー。
今日は記念すべき、サンタとしての初出勤。
クリスマスプレゼントを渡すに相応しいターゲットを街で物色中、偶然落ち込んでいる彼女を発見したようだ。

あの子こんなに寒いのに、裸足じゃんか・・・
マッチも沢山売れ残ってる・・・

もうこんな時間か・・・。
彼女がその場から立ち去ろうとしたその時、リリーは行動に移した。
How much


ヤッホー!
リリーサンタの登場だよー!
マッチ1本、下さいな〜♪

・・・あ、マッチですか?ありがとうございます。
1本、3万円になります。

・・・えっ?
もう一度聞いていいかい?

三万円です!
彼女のマッチが売れない大きな要因。
それは時代などではなく、その攻撃的な“値段設定”が原因だと分かった瞬間だ。

僕の、なけなしのお金が・・・
見習いサンタは辛いとです。
疑惑


買って下さり、ありがとうございます。
マッチを売り始めて、今年で三年目・・・初めて売れました。
天国の両親もきっと喜びます。
ついでにコチラの商品もいかがでしょうか!?


・・・ナニコレ!?

うちの家系に代々伝わる幸福のツボです。
クリスマス特別大特化で、100万円なります。ゴホゴホッ・・・
彼女はわざとらしく咳き込みながらリリーの様子を伺っている・・・

はっは〜ん・・・
さてはお前、悪いやつだな〜!?
僕をカモにしようったって、そうはいかないぞ!
正体を表せーーーーー!!!


何するんですか!
辞めてください・・・辞めろって言ってんだろ、クソサンタが!
本性

本性を現したな、このマッチ女め〜・・・
僕はまだまだ見習いだけど、クソサンタじゃないもん!
せっかくプレゼントあげようとしたのに・・・

ふんっ、今さら私が詐欺師だって気づいても手遅れだっつうの!
マッチ一本、毎度ありーーーー♪
ついでにこいつも頂いてくぜ!?
バイバイ、マヌケなサンタさん♡
マッチ女は凄まじい速さで、逃げていった。
みんなへのプレゼントが詰まったプレゼント袋を抱えて・・・

大変だ・・・
こうしちゃいられない!
トナカイ君、早くアイツを追いかけるんだ!
さぁ、早くーーーーー!!!

記念すべきサンタデビューの日に、ぼったくられた挙句、ツボまで買わされそうになったリリー。
更にはプレゼントが詰まった袋まで奪われる始末・・・
小柄なトナカイに跨ったところで、彼女を追いかけれるのかは疑問ではあるが、みんなのプレゼントは彼の手にかかっている。
ガンバレ、見習いサンタ!
続く・・・
見習いサンタ(仮)は今後、本編とは別にシリーズ化していく予定ですので、今後ともよろしくお願い致します。